2013年のIT予測(俺版)

明けましてお目出度うございます。今年も宜しくお願い申し上げます。

さて、2年前に「2011年のIT予測(俺版)」という多少ふざけた予測を書いたのだが、槪ね當たらずとも遠からずという感じであったため、2年ぶりではあるが書いてみることにする。

1. SI企業は大手に収斂されていく

もはやSI企業とは遠く離れた仕事をしている關係上もはやどうでもいい話なので子細は省くとして、SI企業という、新しいようで日本のガラパゴス世界の象徴とも言へる「SI」という摩訶不思議な業態は恐らくこのあと大手SI会社(いわゆるIBMとかNTTとかその周りの巨大会社)に収斂していくことであらう、と思っている。

所謂「顧客企業」つまりSI会社のビジネス相手である、システムを発注・運用する會社は、IT系企業を中心に自社内開発を進める國際標準型にシフトしてきており、何でもかんでも丸投げして自らが樂をするという形態は、コスト的にも納期的にも品質的にもスピード經營の足枷にしからないといふことが赤裸々になってきている。

これが他業種まで浸透してくると當然ながらSIに發注する顧客企業は段々減ってくる譯であり、今年はそのシフトが明確に出てくるんじゃないかな、と個人的に思っていたりする。とはいえ、世の中のシフトはそんなに高速に行われるものでもないため、これは中長期的な話かなと。今年にこの大きな潮流の何が象徴的に出るかどうかは、そこまでは殘念ながら想像ができない。

來年は政権交代により公共投資が進むことが間違いなく予想され、結局は某日の丸企業が請け負った仕事に全力でぶら下がる系の仕事がまたもや幅を效かせる暗黒時代が再来であらう。さうやって大手に収斂しハードウェアを含めた美味しい仕事を求めて彷徨う企業が増大する。

2. クラウドシフトが一段落するが、中小企業への導入が一層進む

これもSIネタにかなり近い話ではあるのだが、ネタ不足に惱むSI企業の期待の星、しかし長期的にはハードウェア系契約減になり自らの首を絞めることに直結する「クラウド」が、amazon EC2やらGoogleやらの今年末の頻繁な大規模障害で「やっぱダメだね」という、ある意味「最初から分かってんじゃん」という殘念な結末で終わろうとしている。

一方、データセンターやらハードウェアやらを自前で調達するためのコストを負担できない企業への営業はこの後さらに一層加速するだろうなとも感じる次第である。大概の中小だとこのレベルでの技術評価ができない(出来る人は少數いるけど決斷を下す側が無知)というパターンが多いので、恐らく半分騙されるやうな形での導入は進むことであろう。

まあ、この場合でも最初から分かっていることではあるのだが、数年後に「やっぱりダメだね」という當たり前の結論で終はることは間違いなからう。但し、田舎の企業だと数時間とか数日のシステム断が即時企業の破綻に繋がらないケースもある。さういふニッチ層には受けるのかなぁと。勿論、金額規模的にショボいだらうなといふのは内緒だ。SI企業も當然儲からん世界だらう。訴訟だけは増えそう。

3. 企業システム開発でJava EEが息を吹き返す

現状かなりMicrosoft .NET Frameworkに環境面で差を付けられていると思はれるJava EEであるのだが、開発環境面ではNetBeans 7.3が、標準としてはJava EE 7が來年登場する予定であり、これで漸く.NETと肩を並べることができるのだろうか、と思っている。

.NETはMS製OSだけでしか結局動かないというもの凄い制約があるものの、開発環境が優れているということで生産性はピカイチである。戦略的にMSに囲い込まれるといふのもアリと云へばアリなのだが、最近Windows 8でコケて殘念な感じでもあり、企業システムも変革の波がもうすぐ、なのだらうかとも感じる次第である。

一方Java EEは2000年台での導入実績が大きい、OSの選択に比較的幅がある、という面が優れている。ただ一方、2005年以降の導入分についてはSeasar2といふガラパゴスフレームワーク、またはSpring Frameworkといふコード量と複雑度が上がる割に良いことが無いものの無節操な導入が幅を效かせた暗黒時代でもあり、ここからの脱却が求められている箇所でもある。

Java EE 7は開発容易性を上げた良い標準仕様にまとまろうとしており、上手くいけば來年4月にも登場しさうな感じである。但し、これを使いこなす上では(1) IDEをEclipseからNetBeans等対Visual Studoレベルの環境を揃えているIDEにシフトすること、(2) SeasarやSpringやHibernate、Strutsなどの旧世代レガシーフレームワークとの決別、(3) 技術者の世代交代が必要かなとも思う次第であり、ここのシフトが比較的進んでいる日本以外の世界水準へ竝ぶか、逆に引きはがされるかはこの辺りに懸かっているであらうと感じる次第である。

ちなみに私自身は日本の技術者には世界水準にまず上がり、その上で其の先を進んで欲しいと思ふのだが、仮に没落したところで何にも困らないため、やる氣のない連中は出来る連中の足を引っ張らないやうに速やかに轉職して欲しいと考へている次第である。

(4) パーソナル市場での「ガラケー」「PC」の事實上の滅亡が起こるか

家で使うInternet接続端末の利用時間として考へれば、PCやらMacやらを使う時間と云ふのは數限りなく減ってきている譯であり、大半はiPhoneやiPadを使う時間で大半を占めるやうになった。かくいふ私も「Windows PC」を家から追放して早數年であり、とりあえずMacBook Airを使へれば全く困らない生活にも慣れた。

一方、世の中的にもWindows 8が時間切れリリース感満載の殘念な結果に終わっており、MSへの忠誠度が高い一部のマニア以外への導入は遅々として進まないであらう事は目に見えている。Windows利用の原動力でもあったPCゲームの国内市場の崩壊と、Officeソフト利用を前提とした「会社の仕事を家でやる」系の投資も冷めている(增税もされるしね!!)感じもあり、8プリインストールタッチパネルPCのラインナップの寂しさとも相まって、ここの未来は相當殘念なのだらうな、とも感じる次第である。

MSは當然この流れも承知の上で、Windows Phoneやタブレットを揃えてきているため、Appleとの訴訟戦争で劣勢であり技術力に乏しいAndroid勢の空中分解とMSへのシフトが起こるかもしれない。但し、それは來年か再来年か全く分からない。來年は無いかな。再来年くらい。

また「ガラケー」すなわちガラパゴスケータイも3キャリアのショップを訪問すると絶滅危惧種であり、来年辺り本氣で滅亡が進みさうな勢いでもある。imodeが普及した2000年當時からこの間抜けな仕様を決めた連中は本氣で追放されるべきと思って信じていたが、それから14年くらいかかって漸く駆逐されそうで安堵する限りである。當時のハードウェアスペックの制限がしやうがないといふ意見もあらうが、それを差し引いたとしても先進性や互換性といふ意識の恐ろしいまでの低さは国内キャリアのレベルの低さも現しているとも思へる。今後は黙って土管屋に徹して欲しいと願ふばかりである。

(5) 国内IT技術者のレベルは一層落ちる

一部の意気盛んなやり手を除き、大半の凡百の連中は、狭い世界での特定の決まり事をさも「世界全体がさうであらう」と謂はんばかりの感じである。これはここ十数年全然変はっていない。

但し違うのは書籍の數である。IT系の書籍、特に開発系のものの出版數は恐ろしい勢いで減少している。これは國内限定での現象であることを恐らく大半の連中は知らないのではないか。例へば翻訳物を含めJavaや.NETの最新仕様の書籍が去年一体何冊出たか。ほとんど無いのだ。殘念ながら。もはや日本でイケてる技術者を目指すならば、英語書籍を読まなければならないといふ、ある種20年前のInternet黎明期に戻ってしまった感じすらする。

だからといって全員が英語を勉強しろと謂ふのもそれはそれで無理な氣がする。デキるれんちゅうと謂ふのは放っておいても勝手にできるやうになるのでいいとしても、大半の普通の連中はそんなスーパーな事が出來るわけもなく、限られた古い情報、歪んだ先輩の指導、こんな程度でいいよね、というガラパゴスな安心感とも相まって、一層レベルが落ちていく事はもはや避けようも無いだらうか、と諦観する次第である。

最近外國籍の若手を指導し一緒に仕事する機會が多いのだが、天と地ほどの差を感じる。逆に言えば、このスーパーなハンディキャップを乗り越えてくる一部の若手日本人技術者は壮絶に凄まじいレベルであることは間違いないと思ふ。普通の連中はさておいて、一部のデキる連中がぐんぐん伸びて牽引していって欲しいと願ふ次第である。

さて、他にも書きたいことはあると思ふが、止まらなくなってきたので一旦この程度で終わらせておこう。次は寫眞系を書こうかな。

2011年のIT予測(俺版)

新年あけましておめでとう御座います。遅い? 遅いですね(^_^;)

さて今年のITな関連のネタをひとつ。いったい今年どうなるのか、正直良くわからんのであるが、それでも開発現場に居ると「直感」みたいなものは感じることができる。まあ我が社だけの話になるのかも知れんが、こう感じている人も居る、くらいの感じで捉えて頂ければありがたく。

1. SI企業が没落する

今でも十分儲かっとらんというのはさておき、これ加速する可能性が高いですな。SI企業というガラパゴスな団体が日本の技術改革を遅らせているというのは各方面からずいぶん前から批判されまくっている次第ではあるのだが、超本格化しそうな予感が。

うちの会社もそうなのだが、欧米を代表とする新興企業はほとんど内製である。足りない人手は派遣または直接契約で働く。間に会社が入って中抜きしないのである。コストが安くなるというのもあるが、どんどんシステムを更新せねばならないドッグイヤーなIT系では、見積もり依頼したりRFP書く暇があったら直接開発しちゃうのである。これ今年さらに加速しそうな予感。確証はない。次の項目も影響するはず。

2. 何でもかんでも「クラウド」な予感

Buzzwordの代表格である「クラウド」であるが、なんか妙に流行っているので今年も「クラウド」でしょう。もう何でもかんでもクラウドで片付けられまくっているので、そのうちオフラインクラウドとか田舎クラウドとかハチャメチャなのが出てきても不思議ではない。

システムを提供する側からすると、コストメリットが多少あるかもしれん話なので乗ることがあるやもしれんのであるが、問題はSI企業である。クラウドでインフラが安くなったり借りたりできるようになれば、これまでハードウェアとソフトウェアと人を抱き合わせで売ってきたSI企業は商売上がったりになる予感。Google App Engineの上にアプリ作っても、インフラがタダなのになんでアプリにお金要るのよ!?なんてひどい話があちこちで出てきている模様。頑張ってください(ひとごと

3. 電子書籍が大混乱

巷の電子書籍ブームも日本では本命のEPUB形式が未対応というのもあり、現状はちっとも流行してない、というのが正解であろう。iPadを見ても、iBooksがまだ、というのもあり、自称「電子書籍」は単なるiPadのアプリケーション、という詐欺に近いものが多い。可搬性ゼロの旧来マルチメディアアプリじゃんそれ。

で、今年後半にEPUB 3.0が登場するので、それを元に現状の大混乱な電子書籍がここに収斂していくことが間違いないと考えられる。でも既存のXMDFとかPDFとかがしぶとく生き残ってるし、DRMの都合も付与されてなんだかさらに大混乱になることでしょう。

投資が無駄にならん事を考えれば、将来の可搬性の点でも紙の書籍が圧倒的に有利。雑誌やライフサイクル短めの技術書やビジネス書であれば現状入手可能なものでも良いだろうが、10年後も読みたいものは現状間違いなく紙の本を買っておくべきであろう。DRMフリーのPDF・EPUB以外の電子書籍は読めない可能性が高いと考えられる。

4. エンプラ系開発言語は現状維持

エンタープライズ系開発言語は、新規で作る場合、現状Java EEとMicrosoft .NET Frameworkで二分していると考えられるのであるが、大して変わらんだろうと予測。COBOLからの乗り換えは地道に進むであろう。

Java EEはそろそろ6での開発がスタートしそうな予感。WebLogicが今年対応してくるはずなので、JSF 2.0やEJB 3.1、JPA 2.0など便利な新規技術をどううまく使いこなせるか、が現場対応の要になるであろう。

旧来のJava EE 5や1.4以前にしがみつく選択肢もありうるが、対ワールドワイドの潮流を見る限り、ちょっと後ろ向き過ぎの気もする。もっと日本人技術者を自称するものはワールドスタンダードに敏感であるべきである(含む俺)。

5. 日本語技術書籍が大激減

去年からすっかり寂しくなった日本語技術書籍であるが、今年はもっと減るであろう。技術誌は去年ほとんど絶滅してしまった(私自身の連載も巻沿いを食らった)のであるが、それはともかくとして単行本系も終わっていく可能性が高いと観る。だって事実出てないし。

日本は幸運にも英語を使わずともIT系を学習できたのだが、これが今後どんどんできなくなっていく可能性が高いのではと思ってきた。事実、お、これは!と思える技術書は大抵英語しかない。Java EE 6で検索して出てくる書籍は漏れ無く英語。まあ、そんなもんでしょうかね・・・

6. ガラケー没落、スマフォ大混戦

誰もが予測するとおりであるが、ガラケーは既にtwitter等々を活用できる層にはメリットが薄いので、どんどん囲いの庭のような独自世界が崩壊していく事だろう。NIFTY-Serveが没落した感じ。

一方スマフォだが、iPhone 5とiPad 2が登場する一方、アンドロイド系が大増殖することは誰の目にも明らかなのであるが、たぶんアンドロ系は.2.2から更新できない「ガラスマ」が大発生→未来に行けないことが分かった利用者が大激怒という、どこぞのIS01で起きた悲劇が各所で連発することだろう。私はApple系で行きます。

一方Apple系はアキレス腱であるソフバンの回線パンク状態が更に進行しそうな悪寒が強い。docomo回線が同等の金額で使える別ルートが何種類か出てくるだろうと勝手に予測。現状でも相当悪い接続状態だが、いつか破綻を迎えそうな、そんな悪夢も感じるところである。その回避ビジネスが出てほしいなぁ、という個人的な願望も混じってるのは否定しない(^_^;) まあ今でもあるとおりだが、ひょっとして儲かりそうならいろいろ出てくるでしょう。

とまあ思いつくままに書いてみたが、これがどこまで合ってるかは今年年末のお楽しみである。