さてGT-X970が我が家に來て暫く經つのですが、前々から我が家に鎮座していたNikon SUPER COOLSCAN 5000 EDとのガチンコ對決をどこぞでやりたい、と常に思っておりました。連休に入ったので、早速試してみました。
■スキャンするフィルム
さてテストに駆り出される生け贄ですが、できるだけ難しさうなやつを・・・と思ひ、粒子の粗く繪柄的に精細で、しかもシャドウ部が多めのものを・・・と極惡なやつを選び抜きました。イッヒッヒ(笑)
- FUJICHROME PROVIA 400X 135 35枚撮り
- Nikon F6
- AF-S VR Zoom-Nikkor ED 24-120mm F3.5-56G
- 2008年12月 伊勢神宮内宮にて撮影
これはISO 400のフィルムなので、ISO 100のPROVIA 100FやVelvia 100Fなどよりも粒子が粗めです。綺麗なスキャン結果だけを考へればVelvia 50の寫眞を選擇するのが良いですが、それだと比較しづらいので敢えてこれを選んでおります。なので、今回のスキャン結果を元に、フィルムはこれだけの解像度しか無い、とかいふ判斷材料にはなりません事を予め申し添えておきます。
■スキャン機の共通スペック
- MacPro 2 x 2.66GHz Dual-Core Intel Xeon
- 5GB 667MHz DDR2 FB-DIMM
- HDD 320GB x 4
- Mac OS X Leopard 10.5.8
普通のMac機です。今や珍しいタワー型のやつです。コア二つのCPUが二つなので平行動作が得意でして、スキャンしながらCDを焼きながらメールを書いてYouTubeを覽る、なんてこともできる頼もしいヤツです。周辺機器の關係上、これだけまだ10.5のままです。後述。
■Nikon COOLSCAN 5000 ED 1.02
- USB接続
- Nikon Scan 4.02
- ストリップフィルムアダプタSA-21使用
- 4000dpi (5000EDの最高解像度、3946x5748pixels=22,681,608畫素(約二千萬畫素))
- カラーバランス: 明るさ+10
- マルチサンプルスキャニング: 超高畫質(16x)
- DIGITAL ICEを使用: 標準
- JPEG 最高畫質
5000EDは数年前に購入したものですが、既にNikonでの販賣は終了しております。そのためか、Macの最新OSであるSnow Leopardにも未對應(動くかもしれんですが試してません)です。これとプリンターのEPSON PX-G900が10.6 Snow Leopard未對應のため、我が家のメインマシンのOSは10.5のLeopardで止まっております。とっとと64bitカーネル起動したいんですが・・・
爆裂に五月蠅いので、下にフジの4×5の空箱を敷いて、その上に制震ゴムを敷いていますが、焼け石に水です(泣
■EPSON GT-X970
- USB接続
- EPSON Scan 3.28J
- フィルムホルダー使用 (二列目に配置、足の高さ調整無し)
- 3200dpi (2933x4490pixels=13,169,170畫素(約千三百萬畫素))
- 4000dpi (3640x5440pixels=)
- 4800dpi (4400x6736pixels=29,638,400畫素(約三千萬畫素))
- トーンカーブ: 山のない部分をトリミング
- 明るさ: +10
- アンシャープマスク: ON 效果高
- DIGITAL ICE Technology: ON 品質優先
- JPEG 最高畫質
GT-X970のフィルムホルダーを使った場合のカタログ上の最高解像度は6400dpiとなっていますが、公平を期すために5000EDの最高解像度である4000dpi近辺の解像度、3200dpi/4000dpi(カスタム)/4800dpiの三種類で行うことにしました。
■スキャン
さてこれでスキャンしてみました。また正確には計ってないですが、どちらも概ね5分程度で1コマスキャン完了です。音は圧倒的に5000EDの方が五月蠅いです。五月蠅いといふか爆音といふか。GT-X970も結構五月蠅いですが、5000EDの爆音には敵ひませんでございます事よ。
Nikon SUPER COOLSCAN 5000ED(左) / EPSON PX-G970(右) のスキャン結果(縮小しています)
さてピクセル等倍に擴大して比較してみました。Adobe Photoshop Lightroom 1.4でピクセル等倍にて比較したものをスクリーンキャプチャーしました。
(1) 5000ED 4000dpi vs GT-X970 4000dpi
5000ED 4000dpi(左) / GT-X970 4000dpi(右)
これは5000EDとGT-X970の解像度を一緒にしてスキャンした結果です。見てのとおり、5000ED側は順當に解像している感じがしますが、GT-X970は下手くそにアップスケーリングしたやうな感じになってしまっています。枝がでこぼこ。はっきり言って話にならない結果です。5000EDの圧勝、といふか勝負になってません。殘念。
(2) 5000ED 4000dpi vs GT-X970 4800dpi
5000ED 4000dpi(左) / GT-X970 4800dpi(右)
ではGT-X970側の解像度をもっと上げてみたらどうでせうか? 4800dpiに上げた結果ですが、これもまた酷い。ボロボロです。上の4000dpi時の結果よりもさらに酷さが倍増しています。安價なデジカメで撮ったやつよりも酷いです。
比較するまでもなく、5000EDの完勝。どうした、GT-X970!?
(3) 5000ED 4000dpi vs GT-X970 3200dpi
5000ED 4000dpi(左) / GT-X970 3200dpi(右)
ではGT-X970側の解像度を一気に3200dpiまで落とすと・・・あれ? これはこれは。何と上のボロボロの結果が噓のやうに解像した結果が得られました。解像感はほぼ互角で、しかも葉っぱの影を見る限り、コントラストとシャドー部の浮き具合もGT-X970の方が良好に見えます。
ようやく比較することが出來ました。ほぼ互角なんですが、私の獨斷と偏見では、GT-X970の辛勝、と云ひたいところです。
■まとめ
このやうに、GT-X970の實質解像度は3200dpi辺りが上限のやうに感じます。EPSON Scan上では6400dpiまで選擇できるのですが、この場合3200dpiの結果を無理矢理アップスケーリングしたやうなボロボロ畫像が結果として返ってきました。このやうな結果は前所有していたGT-X750でも同様でしたので、最近のEPSON機の共通の特徴なのでせうか。これは要注意です。
さて、世に一般には「フィルム専用スキャナー>フラットベッドスキャナー」といふ暗黙のヒエラルキーが存在するやうでして、私も概ねそんなもんだらう、と思っておりました。が、今回の結果を見て考えを修正しなければ、と思ひ直しました。
先に書いたとおり、5000EDは既にディスコン状態でして、既に新OS對應も放棄されている極めて寒い状況にあります。VueScanやSilverFastなどといふ有料ソフトを利用するといふ手段も無くはないですが、かういふ機器はよく壊れるし調整も必要だったりしますので、ハードウェアのメンテナンスまで勘案すると、この状態で5000EDを使い続けるのは問題も感じます。
しかも、今回のテストでは、GT-X970を3200dpiで使う限りにおいては、ほぼ同等の結果が得られる事もあります。4000dpiまでの解像度は無いにしても、極めて特殊な用途以外においては、GT-X970の方を選擇する方が半値以上安上がりだし、安定して使い續けられさうだ、といふ事を感じました。しかも、GT-X970の方が5000EDよりも数段静かです(笑)。
追記しておけば、私の主な利用用途は、6×6判、6×7判の120フィルム、4×5判のシートフィルムのスキャンです。この時点でGT-X970の一擇になってしまうのですが、この場合であっても3200dpi以下で利用する事を守れば、良好な結果が得られるといふことになります。
限られた時間と環境で試しただけなので、これがホントの性能かどうかは不明ですが、我が家ではこんな結果になりました。備忘録的に書いてみましたが、どこぞでお役に立てば幸いです。
追記: (左)(右)表記が逆になってるところをご指摘頂きました。修正しました。有り難うございます。
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