舞鶴公園の牡丹 Carl Zeiss Proxar 0.5

舞鶴公園の牡丹
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もう5月である。今日は博多どんたくを外ではやっとったのであるが、博多松囃子と博多にわかを聞いて来て満足である。写真の方は松囃子をFUJICOLOR PRO400で撮ってきたのであるが、当然ながら現像のあがりはまだ先であるため、4月末に撮った牡丹でも載っける事にする。

さて牡丹はきわめてデカい花である。ほらほら撮って! と云わんばかりの花を咲かせるのであるが、どれ撮ってやろう、と思った場合、人情としてはファインダー一杯に撮ってやりたくなる。大きな牡丹の花を6×6判にいっぱいに撮った場合、拡大率はだいたい1:4〜1:8くらいなのだらうか。

が、HASSELBLADを手持ちで撮影する場合、Planar 80mmの最短撮影距離は約0.9mである。WISTAを使う場合は150mmをつけて蛇腹を300mmくらい伸ばせばどんだけでも大きく撮せるのであるが、小型手持ち機であるHASSELBLADにはそれができない。できないから大きく撮せない。これでは不満が残りまくる。

この場合の選択肢は二つである。(1)Extension Tubeを付けて蛇腹を延ばしたのと同じ構成にする、(2)Proxarというクローズアップレンズを付ける、である。このいずれかで大きく撮せるようになる。

(1)の選択が通常のものであるが、くそめんどくさい話として、蛇腹を延ばした(のと同じようにExtension Tubeを噛ました)場合、露出倍数を計算してやらねばならない。具体的には、延ばした距離に應じて露出を多めにかけて(数段分絞りを明けるか、シャッター速度を遅くするか)やらねばならないのである。

蛇腹のビューカメラでも同じなのだが、この露出倍数の計算がくそめんどくさい、というのもあるが何より「忘れる」ことが多いのである。撮る際に数段分落とすのを忘れて、現像後に暗い上がりを観てびっくり!という事が何度あろうか。さすがに最近は何度も何度も痛い目に遭っているだけあって忘れる事は少なくなったが、それでも怖いというのは正直な感想である。

※経験的に憶へている数値としては、150mmレンズを付けて蛇腹を300mmに伸ばしてピントを合はせた場合、露出は2段暗めに出る、というのがある。これが忘れるのだよ・・・

それに対して(2)のクローズアップレンズは露出倍数を気にする事がない。露出はそのままで良いのである。その代わり、レンズを一枚かますわけで、写りに悪影響が出る可能性が在るわけである。

その中でもHASSELBLAD純正のProxarはCarl Zeiss社製のものであり、T*コーティングもされている事からなかなか良いものであると巷では云はれ続けているものである。0.5、1.0、2.0と三種類あり、我が家にもこのProxarの0.5と2.0の2枚を激安で海外から調達したものがある。

凄く判りづらいのだが(といふかまともに解説してある日本語サイトを知らないのだが)、この0.5とか1.0とか付いている数値は、無限遠をこの距離(メートル)に強引に変換する、という指標になっている。つまり、Proxar 0.5をPlanar 80mmに付けた場合、ピントが合う距離が通常の「0.9m – ∞」から「0.3m – 0.5m」に変換されるのである。

これはProxarに付属のマニュアルを読めば一目瞭然なのであるが、残念な事にマニュアル付きのProxarはなかなか世の中に出回らなく、しかもマニュアルのPDFが公開されてないようで、ほとんどは裸のレンズのみである。しかも無駄に高い。適正價格は1万円以内だと思うのだが、これを越える価格で取引されてしまっているのはどうよ、と思う。デジカメなんぞ新機種が出たらボロクソに中古価格が崩壊するくせに、HASSELBLADやRolleiの最終モデルなぞは全然価格が落ちないので困っている次第である。みんな頼むからデジカメに行ってくれ・・・(安く買いたいので)

まあそんなわけで、この写真も最短撮影距離である0.3mから激写したものである。観てもあまり判らないのだが、ピントが合っている所は元々のPlanar 80mm CFEの切れ味そのままである。が、あまり判らないものの無限遠側のボケについては、二線ボケの傾向が少し出てくる。

まあ強引に無限遠を矯正しているのでしゃーない話でもあるのだが、その欠点を持ってしても便利さには叶わない、という事でProxar 0.5を使いまくる日々である。写真の牡丹を撮影した際は暗かったので、ほんとに暗く写っている。他の写真もそうであるが、現物のリバーサルフィルムからスキャンして、フィルムの縁を切り抜いてサイズ変換している、ほぼストレート出力である。最近主流のHDR風インチキ高彩度塗り絵と比較すると暗く眠いと思うが、やはり花びらは滑らかさが出てナンボだと思うのであるので、そのままにしている。