長くなったので3分割した3つ目です。ビンテージPC系をまとめました。
去年後半は、それまで確保してきたPCをひたすら修理する事に明け暮れました。引っ越しを機に棚卸しができ、丁度壊れ始めた頃だったPCを修理しつつ、これまで持ってなかった機種にも幸運に巡り会えたため、それもまた修理するという地獄絵図でした(笑)。
そもそも1980年代のビンテージPCを遊ぼうとすると、その大半は壊れているのが普通であり、ごく希に修理済みのものが大変高値で取引されていたりします。ただ、趣味にはあまりお金を掛けない主義の私としては、自分で修理出来てこそ長く遊べるだろう、とう信念の下、ついでに自分で修理する技術を獲得していこう、と決め、実行してきました。
お陰様で失敗も多々ありましたが、年末に修理したPC-88VAをはじめ、多くの成功事例も重ねることが出来ました。TwitterのレトロPCクラスターの方々にも多く助言をいただき、修理スキルとしては格段にレベルアップできた一年でした。勿論、PCの動作原理も更に深く理解出来た気がします。1980年代の、という枕詞が付きますが(笑)。まあ、最新のPCとかIoTも根っこの部分は大して変わってないので、勉強と思えば安いものです。
まずドツボにはまったのは、間違いなくこの辺から・・・
遂に入手してしまったNEC PC-6001mkIIアイボリーホワイト。これでPC-6001用にバクテンさん @bakuten_do SD6031WIF のためのROM抜きができる。そこ、本末転倒とか突っ込まないで!ε-(´∀`; ) pic.twitter.com/84e8EaCpAT
— 岩崎浩文 / 武者返し.com (@HirofumiIwasaki) 2016年3月6日
このボロボロのPC-6001mkIIを修理すべく奮闘するのですが、どうも動かない。まずはタンタルコンデンサーの総取っ替えから。
意地でタンタル引っこ抜いた。どうしても溶けてシュッポンで吸ってくれないから足をぶった切って表から半田ごて、裏からペンチ。溶かすのに30秒かかった。ここまで古いと辛いのー pic.twitter.com/IZaCR1HEdR
— 岩崎浩文 / 武者返し.com (@HirofumiIwasaki) 2016年4月17日
が、動かず。RFユニットがダメ?
組み上げて電源入れてみたけど、やっぱり画面が出ない。かなランプが反応してリセット押したときにリレー音が鳴るから、動いてはいそう。RFユニットかな? pic.twitter.com/5UmwMoQjPM
— 岩崎浩文 / 武者返し.com (@HirofumiIwasaki) 2016年4月17日
途中で海外出張等を経て、頭を冷やしてもう一度やり直し。
昨日のPC-6001mkII修理で音声合成が出なかった問題、回路図と比較して余計な電解コンデンサーをタンタルコンデンサー化してしまっていた&PSGラインのタンタルを付けるのを忘れてたという二重の間違いやってた。修正済み。 pic.twitter.com/iLzCsamvpd
— 岩崎浩文 / 武者返し.com (@HirofumiIwasaki) 2016年7月4日
結局ビデオ出力で動きました。修理成功。うっかり間違いは良くないですね。
情報緩募: 直したP6mkIIのビデオ出力、P6と比較して何かジラジラするんですが、こんなもんでしょうか? pic.twitter.com/p5xTjXJtEH
— 岩崎浩文 / 武者返し.com (@HirofumiIwasaki) 2016年7月4日
その直後西田ラジオさんからスプライト機能拡張付PC-6001mkII用VGAアダプターが届き、中間色を含めた16色表示環境が完全復活。
西田ラヂオさんのスプライト機能拡張付 PC-6001mkII 用 VGA アダプタ、ACアダプター買ってきて無事動きました!!文字がジラジラ表示されてたけど、DIP6:OFFで解消。ガキッと映る!ヽ(^o^)丿 pic.twitter.com/1NlmMNg9SQ
— 岩崎浩文 / 武者返し.com (@HirofumiIwasaki) 2016年7月6日
その後ばくてんさんの所から戦士のカートリッジver.2.0が届き、いろいろ便利になりました。
帰国したらばくてんさん @bakuten_do のP6戦士のカートリッジver.2.0が届いてた。PLCCの4MBが付いてたからTSOP無くてもとりあえず遊べそう。とりあえず、手持ちのAX-1を吸ってぶち込んでみるか・・・ pic.twitter.com/My5HR6OYsc
— 岩崎浩文 / 武者返し.com (@HirofumiIwasaki) 2016年9月24日
このP6版Ys-IIは実機動作させると衝撃度が凄いです。
初めて @tiny_yarou さんのP6 Ys-IIデモを@bakuten_do さんの戦士のカートリッジv2で動かしたけど、この衝撃は実機で動かさないと分からないので、とりあえずビデオ上げときます。(周回遅れ pic.twitter.com/wIgSFobcj7
— 岩崎浩文 / 武者返し.com (@HirofumiIwasaki) 2016年9月24日
そしてベルーガの本物も。この突き抜けたクオリティが素晴らしい。それもこれもP6を修理出来た上にあるわけで、ここで味をしめていろいろ手を出す(=沼にはまる)のでした。
ベルーガ2面後半特攻シーン。このクオリティは異常。ゲームの面白さは解像度や色数やリアル度じゃないよね。 pic.twitter.com/UNPxnPyoCB
— 岩崎浩文 / 武者返し.com (@HirofumiIwasaki) 2016年9月25日
平行で福岡FM爆音会で見たしらけんさんのPC-9821Ltがいいな、と思って数千円でこれを入手。これは乾電池漏れで中身が死んでいて、修理してるうちに液晶の同期が合わなくなり死んでしまいました。残念無念。
しらけんさんのPC-9821Ltがいい感じだったので、動作品と思しき/350Aをついうっかり2000円で。前愛機のPC-9801NS/Lに近い小ささで良いです。キーピッチが小ちゃすぎなので閲覧用かゲーム用かな。いまから開けて中を確認 pic.twitter.com/joLEJB69KM
— 岩崎浩文 / 武者返し.com (@HirofumiIwasaki) 2016年3月25日
紹介しよう! ここで最終兵器「お酢」の登場である!ジュワジュワ音がする〜中和〜!! pic.twitter.com/cuHkiOjexd
— 岩崎浩文 / 武者返し.com (@HirofumiIwasaki) 2016年4月1日
98 noteのdot by dot表示品質が凄すぎて鼻血モノ。ロストテクノロジー感満載で素晴らしい。みんな激安カラー98ノート買えば幸せになれると思うよ!(苦行コースへようこそ) pic.twitter.com/Up0oJjklrL
— 岩崎浩文 / 武者返し.com (@HirofumiIwasaki) 2016年4月9日
ブランディッシュ2を始めてみたらまたもや水平同期がおかしく。ただ、異常時の発色とコントラストは明らかに改善されてる。残り4つのコンデンサー全とっかえしないと無理っぽい。苦行は続くよ!)^o^( pic.twitter.com/pIeOlHzGvv
— 岩崎浩文 / 武者返し.com (@HirofumiIwasaki) 2016年4月10日
地震で困っててもしょうがないんで、PC-9821Ltの修理再開。前回の教訓により、最小のコンデンサーをカホパーツで選んできた。表面実装型は次回交換時にまた困るから普通のを使うのだ。 pic.twitter.com/MG0pT2BsD1
— 岩崎浩文 / 武者返し.com (@HirofumiIwasaki) 2016年4月16日
やっとコンデンサー電解液漏れ発見。剥いでみないと分からないのが辛い。A3 54の左下。隣のスルーホールが塞がってしまってる pic.twitter.com/wQb7gAx5SE
— 岩崎浩文 / 武者返し.com (@HirofumiIwasaki) 2016年4月16日
あまりにも奮闘が長すぎるので結論へ。動きませんでした。残念ー。修理してる最中に熊本の震災が起き、それどころじゃなくなりました、ということもあります。まあ、集積度の高い98ノート修理は鬼門ですね・・・
コンデンサー交換後起動してみたら電源はいらず。どうもヒューズが切れたぽい感じ。この辺が限界かな…98ノートはやっぱ茨の道だぜヒャッハーヾ(*`Д´*)ノ pic.twitter.com/ULWUp8Iy5E
— 岩崎浩文 / 武者返し.com (@HirofumiIwasaki) 2016年4月16日
その後、懲りずに九州電遊博で大量にゲット。PC-8801mkIIMR、PC-9801UV21、PC-9821Ap2/M2の3台。これを修理しはじめる訳です。書いててうんざりします(笑)
そしてその前に死蔵してた初代X68000を修理。
これは成功。電池交換だけで済みました。初代は情報が少なく、特に電源周りではいろいろ手間取りましたが、何とかクリア。
電源は綺麗で特に死んでませんでした。いろいろ聞くところによると、初代機は比較的丈夫だそうです。環境にも依るかな。下記Tweetで書いてる「電解液」は、単なるホットボンドの白でした。
そしてゲームは動く。成功。
これで勢いを増して修理開始。まずは簡単そうなPC-9801UV21より。FDD含め分解清掃したらあっさり動きました。
ただし、ビデオ周りでエラー音が出て、縦線が出る状態。ROMの足の接触か、電解コンデンサーもしくはタンタルコンデンサー死亡でノイズが除去出来てない状況か、どちらかと考えられます。
どっちにしても面倒くさいので一旦放置で次。時間を作ってROM周りを綺麗にしてみます。それで治らなかったら、タンタル&アルミ電解コンデンサー全交換コース。実に面倒です。
次、PC-9821Ap2/M2。非常に珍しい5.25インチドライブ版。表面実装電解コンデンサーの死亡率が極めて高い凶悪な機体として悪名をとどろかせています。
電解コンデンサーがかなり酷い状況、というか全滅状態なので全部交換することに。
が、案の定動かず。原因として考えられるのは(1)電解コンデンサー漏れが激しい箇所で見えない所のパターンが朽ち果てている、(2)電源の5Vか12Vが不安定でシステムが起動しきれない、辺りかと。前者は特定がかなり難しいが、後者であれば(今であれば)電源修理でなんとかなる。
組み上げてみたけど画面出ず。スピーカーから相変わらずプチプチ音。もー疲れたヽ(`Д´)ノ pic.twitter.com/isD5DPXmAx
— 岩崎浩文 / 武者返し.com (@HirofumiIwasaki) 2016年8月11日
無駄に半田作業のスキルがアップした気がする。がしかし結果が伴ってない。とりあえず分かったのは、起動音・画面すら出ないPC-9821の復活は容易ではなく、コンデンサー交換程度では太刀打ち不能ということか。将来別の手持ちがぶっ壊れた際に参考になるかも。
— 岩崎浩文 / 武者返し.com (@HirofumiIwasaki) 2016年8月11日
ということで最後のPC-8801mkIIMRへ。
ジャンクPC-8801mkIIMRの確認開始。 pic.twitter.com/9vKn6ij2XF
— 岩崎浩文 / 武者返し.com (@HirofumiIwasaki) 2016年8月12日
いきなり難所。背面ネジが錆びて朽ち果てている。開けられない。強引にネジザウルスで頭を破壊しながら回転。無事抜き取った。
一家に一本ネジザウルス。いきなりお世話になるとは・・・ pic.twitter.com/uMRLFnBeLP
— 岩崎浩文 / 武者返し.com (@HirofumiIwasaki) 2016年8月12日
何とそのまま動いた。FDDがやばそうな感じ。
開けてちょっと拭いて、想像より状態良かったんで24khzに設定して電源入れてみたら動いた。となるとFDDが死んでて「ジャンク」扱いなのかな? pic.twitter.com/uHmV0g2XFD
— 岩崎浩文 / 武者返し.com (@HirofumiIwasaki) 2016年8月12日
Twitterに書くのを忘れてたけど、ドライブ1側のノブシャフトが強い力で折れ曲がっていたので、力任せにまっすぐに伸ばし、芋ネジで位置を調整して分解清掃。これで治った。
TEAC FD-55GFV-40-U。ゴージャスな造りである。PC-8801mkIIMR内蔵のもの。清掃も簡単。 pic.twitter.com/6BEGvSWRyX
— 岩崎浩文 / 武者返し.com (@HirofumiIwasaki) 2016年8月19日
結果修理大成功。我が家にSRに続き2台目のPC-88SR以降4Mhz機が。
PC-8801mkIIMRのジャンク、修理完了。FDDにもグリスアップして結構静かにカツンカツン動いてる。ザナドゥがFM音源含め完璧に動作してます
ヽ(*´∀`*)ノ pic.twitter.com/AuOhgTmtaF— 岩崎浩文 / 武者返し.com (@HirofumiIwasaki) 2016年8月19日
プロテクトのお陰で起動タイミングがシビアすぎるドラゴンスレイヤーも無事起動。完全復活の名に相応しい。
記念にMRでドラゴンスレイヤーLEVEL2.0撮ってみた。そういやWin版ドラスレクロニクル、このPSG歩行音がない点、指摘したのに結局スルーされてしまった。問い合わせて調べるって回答もらったけど… pic.twitter.com/FKuegCH4LH
— 岩崎浩文 / 武者返し.com (@HirofumiIwasaki) 2016年8月19日
この後、FM爆音会に持っていって大活躍しました。持って行くに当たって、掃除機並みの爆音ファンを静音ファンに交換しました。風量はそこそこ確保出来ているため、問題無さそう。ただ、夏場や8Mhz機に究極静音型はちょっと考えた方がいいかもです。
PC-8801mkIIMRのファンが掃除機並みに爆音なので、交換用に究極静音ファンを買ってきた。これで明日の爆音会も安心。 pic.twitter.com/AmiAWjdEJQ
— 岩崎浩文 / 武者返し.com (@HirofumiIwasaki) 2016年11月19日
FM音源も完璧。SSG音とのバランスもおかしくない。
ということで大活躍でした。
今年はこれで終わりかな、と思ってたら最後に伏兵が。何と、ひょんなことからPC-88VA(初代)をゲット。だってお店にある、って言うもんだから・・・
で、開腹したら壮絶なゴミの山。人生で一番汚いPCに出会った感じ。これは幾ら何でも生きてないだろうとこの時点で覚悟しました。
ところが、何とこの機体、かなりレアなPC-88VA専用サウンドボードIIを内蔵していることが判明。ぶつくさ文句言いながら作業してたらUME-3に教えてもらいました(笑)
で、綺麗にして周りを見廻すと、やっぱり電源のコンデンサーの防爆弁が膨らんでいるのが気になったので、人生初の電源修理に挑戦。もちろん、事前に数年間Webでかなりの事例を見て調べてます。元々X68000の電源を修理するつもりが何の因果か当時のライバル機側を修理する事になるとは。しかも両方初代機。
いろいろな事例を見てると、一番でっかいコンデンサーを交換しない事例が多数見られたのですが、この電源の場合は例外なく全て交換しました。全て105℃品で統一しています。理想を言えば電源用の数個上のグレードが相応しいということを後で知ったのですが、まあそんなに88VAで長時間遊ぶことも無いと思うので一旦これで良いでしょう。そもそも対応ソフト少ないし。
もちろん、電源修理は危険なので、特に半田付けを原因とする短絡事故には気をつけましょう。最悪、丸ごと燃えて火事になります。
無事だったので組み上げて、V2モードで動作成功。
V3モードも成功。
ということで、何というか奇蹟というか、年末に絶対死んでると確信していたPC-88VAが動いてしまいました。気をつけたのは、電池漏れで緑色や茶色に表面が錆びている箇所を無理にIPA等で拭かず、そのままにした、ということです。将来サビが進行して死ぬかも知れませんが、元凶を取り去っているため進行は遅く、仮にパターンが切れたときにはそのときに都度ジャンパーを飛ばして対処するのが正しそうです。
ということで3回に渡ってまとめた平成28年(2016)のまとめ、一旦これで終わりにします。他にもジャンクのPS2とか家庭用機を修理したりしてるんですが、まあネタ的に面白そうなのはこの辺かなと思うのでこの辺で。しかし、見事にNEC機ばかりですね。かなり普及してたという事もありますが、逆に壊れやすいということもあるかと思います(笑)。ひとこと言いたい点としては、内蔵電池と四級塩コンデンサーの二大元凶は想像以上に酷い、ということですね。
今年平成29年(2017)は、手持ちの稼働中機体(NEC以外を含む)のメンテを前半に完了させ、万全の状態で遊ぶ、です。なかなかまとまった時間が取れないので難しいですが・・・
おまけ。GeniusというAppleIIのゲームを海外から作者様に送ってもらいました。我が家のApple IIGSで音楽が聴きたいので、Mockingboard(の互換カード)の入手も今年の目標です。